たちばな し

休職と復職にかかる記録残しです。ビジネス論も少しあるよ。

MOVE

今年の4月に引っ越した。物事に理由は必要あったりなかったりするが、おおよそ人間のすることには何らかの理由となる事実がある。

 

筆頭の理由は、同じマンションに住んでいた女の子が引っ越して出ていったことだ。理由としては「はぁ? なんなのそれ?」というものではあるのだけど、面倒くさくお金もかかる「引っ越し」をしようと決断するには十分な理由だった。彼女とは数回一緒に出掛け、数回ご飯を食べた。山本彩似の本当に可愛い子だったので、私の対人スキルの貧弱さと、その貧弱さをさらに弱体化させた職場のボンクラどもに対しては、恨むのであれば恨み骨髄である。うつとは言われていないものの神経症の症状はあったし、その故に人付き合い、しかも一回りも年が離れてて美人の女の子と仲良くしているというのは不安が多すぎた。

失恋してもなんか復縁のチャンスが有るのではなかろうかと恋々とするのがろくでもない男の性で、彼女が引っ越していった。そしてもう会うこともないということを、出会ったこの場所でずっと引きずっているのは耐えるには少々辛かった。思い出はおもいで。置いていくことにした。

2つ目は広い空間に移りたかった。もともと持ち物が多く、生活空間には苦労していた。何しろ物が置いてあるか、通路であるか、寝床であるか、そのいずれかのスペースしか自室にはなかった。引っ越しの最中出てきた過去の契約書を見ると25平米の専有面積で、部屋は9畳あったものの、そのうち5畳ほどは天井までダンボールが積み重なっているという有様だった。

半分くらいというと控えめな気もするが、通路は当然空きスペースだし、バルコニーで物干しもしたし、自分の椅子の上には空きスペースは当然あるし、と考えるとほぼゴミ屋敷と言って差し支えなかった。ガラクタを二束三文でラクマヤフオクに出そうにも、その写真を撮るためのスペースに事欠いた。まあなんとかして写真を撮ったとしよう。梱包材につかうエアキャップのロールを置く場所がなかった。書きながら気づいたのであるが、そんなものはあとから調達すれば良くて置き場所なんてなくてもいいはずなのだが、貧すれば鈍す、である。それを理由にガラクタの処分もできずに困惑していた。空間がほしい。これが2つ目だった。

3つ目、「他に理由があったろうか」と思いだしたらあった。また虫だ。どこから持ち込んだのか、シバンムシカツオブシムシが出るようになった。シバンムシは多分ジンサンシバンムシだったし、カツオブシムシヒメカツオブシムシだった。ゴミ屋敷状態なのでどこが発生源なのかわからない。ただ、シバンムシは蓋が閉まりかけのハーブソルトを振り出したときにごま塩のように出てきたのでその時作っていた料理はそのままごみとなった。あとは蛾が出てくるようになった。記憶から同定してみたがたぶんイガだ。

とにかく掃除のしようもなかった。いや、まず開けてないダンボールを開き、何年もご挨拶をしてない物どもにガラクタの烙印を押して、マンション玄関を出て左に曲がったところにあるところ、ゴミ置き場というのだけれども、そこに連れて行くだけのことだったのだけど、よくよくうろ覚えのところを思い出してみればここに越してくるときもシロアリが出たのをトリガーになかば逃げるように引っ越してきたのだ。荷物はダンボールに適当に詰め込んでいた。しかしダンボールを解く広さがない。現在の狭さと汚さを我慢していれば良く、だから本当に捨てたいのならばダンボールごと持ち出して捨ててしまえばいいのだが、かといってそこまでしなければならないというほどの理由もなく、結局段ボールでできたマトリョーシカは10年間以上開かれることもなく積み上がったダンボールの塔の奥の奥にずっと礎石のように置かれっぱなしになった。ゴミの何処かわらいてくるのかわからない虫どもの居場所を特定するためには荷物を全部ひっくり返したかった。

要は嫌な現実から逃げ出したかった。僕はたまたまそれに必要なお金を持っていた。大変幸福だった。そして、一応脱出には成功した。日本には似たような状態になって、それでも金銭的理由から脱出できていない人がいるだろう。私はラッキーだった。

 

転職してしまうと一般的に入居の際の審査もきつめになると聞く。その故に先に引っ越しは済ませておいた。うむ、そのとおり、今の職場には別れを告げるつもりでいる。そのためにはまず足元を固めたかった。虫が出て、人を呼ぶスペースどころか自分が眠るスペースすら作るのに難儀していた。こつこつと、というのではなく、一気にズババババーンとやっちまって、引っ越した先の広いところでゴミを選り分けて、ガラクタは売りに出そう。コツコツやろうと思ってできた試しがない。今年は10連休もある。やるならいましかない。更新は来年だからといってそれまでのんびりしていたらこの先またずっとこのままだ。思い切りが必要だったが、「彼女」が背中を押してくれた。

 

女性と別れると成長するんだけども、別れないで成長できないものかねえと自分に対して思う。